「翻訳会社から仕事をもらえるようになりたいけど、具体的にはどうすればいいのか?」とお悩みの皆さん。
今回は、実務翻訳者としてデビューする最も一般的な方法である「翻訳会社の登録翻訳者になる」流れについて具体的に解説していきます。
トピック一覧
- 翻訳会社の登録翻訳者になる方法のメリット
- 登録翻訳者になるまでの全体の流れ
- 登録翻訳者になってから案件を受ける流れ
それでは見ていきましょう。
翻訳会社の登録翻訳者になる方法のメリット
翻訳者として翻訳案件を受ける方法はいくつかあります。
その中でも、多くの翻訳者は翻訳会社の登録翻訳者となることで、翻訳会社から案件を受注しています。
なぜなら、登録翻訳者となることで次のようなメリットがあるからです。
- 安定して案件を紹介してもらえる(営業活動が不要になる)。
- 過去に対応した案件と同様の案件を優先して紹介してもらえる。
- 請求処理を含む事務処理を毎月同じ作業で実施できる。
- 社内校閲者からフィードバックをもらえることがある。
登録翻訳者になるまでの全体の流れ
一般的な流れの全体はこのとおりです。
- 登録したい翻訳会社を探す
- 募集要項を確認し、履歴書を送付する
- トライアルを受け取り、期日までに返送する
- トライアルの合否連絡がくる
- 契約を結ぶ
1つずつ見ていきましょう。
1. 登録したい翻訳会社を探す
まずは登録翻訳者となりたい翻訳会社を探します。
本や雑誌などにも掲載されていますが、Web上で翻訳会社を探すのが最もお勧めです。
こちらの日本翻訳連盟のHPから国内の翻訳会社リストを確認できます。
海外の翻訳会社は、LinkedInで検索できます。
Web上では取り扱っている分野くらいしかわからないので、自分の気になった翻訳会社から応募していけば問題ありません。
2. 募集要項を確認し、履歴書を送付する
募集要項が設定されている場合(TOEICの点数、経験年数など)、それを満たしていないと書類で落とされてしまう可能性があります。
自分が募集要項を満たしていることを確認してから履歴書を送付します。
もちろん、海外の会社には英語版の履歴書を送付します。
3. トライアルを受け取り、期日までに返送する
履歴書を送付し、問題がなければ、翻訳会社からトライアルの課題が送付されてきます。
課題は翻訳会社ごとに異なりますが、1000ワードの文章が1つ、400ワードの文章が2つなど、それほどボリュームは大きくありません。
締切も翻訳会社に応じて、1週間~1カ月ほど幅があります。
4. トライアルの合否連絡がくる
トライアルの提出後、1~2カ月後くらいに合否連絡を受け取ります。
トライアルに関しては、フィードバックや評価などはありません。
契約を結ぶ
合格した場合はそのまま機密保持契約や委託契約などの契約を締結します。
また、それぞれの会社で独自のスケジュール管理システムや決済システム、翻訳支援ツールなどを導入している場合は、そのような独自システムの説明書を確認し、シミュレーションなどを実施することもあります。
合否連絡から実際の案件受注までにも1カ月ほどかかる場合が多いです。
登録翻訳者になってから案件を受ける流れ
翻訳会社によって異なる部分も多いですが、今回は翻訳会社の翻訳コーディネーターから直接打診がくる場合を想定して解説していきます。
- 翻訳コーディネーターから案件の打診がくる
- 詳細を確認し問題なければ案件を受ける
- 翻訳作業を開始し、必要に応じて翻訳コーディネーターに質問する
- 納期までに提出する(必要に応じてクエリを添付する)
- 月末または月初に請求処理を行う
1. 翻訳コーディネーターから案件の打診がくる
メールなどで翻訳コーディネーターから案件の打診が来ます。
分野、ワード数、納期、使用する翻訳支援ツールなどの詳細情報が含まれています。
2. 詳細を確認し問題なければ案件を受ける
翻訳コーディネーターからの詳細情報を確認し、自分のキャパシティが問題なければ対応可能の旨をコーディネーターに連絡します。
3. 翻訳作業を開始し、必要に応じてコーディネーターに質問する
翻訳コーディネーターから、翻訳ファイル、ソースファイル、クライアントからの翻訳指示・翻訳ガイドラインなどを受け取ります。
オンラインの翻訳支援ツールを使用する場合は、URLとアカウント情報が提供されます。
後で困らないよう、初期問題(ファイルが開けない、アカウントにログインできないなど)についてはすぐに確認します。
クライアントからの指示があった場合は、翻訳作業を開始する前に必ず確認します。
4. 納期までに提出する(必要に応じてクエリを添付する)
案件は必ず納期までに提出します。
もし遅れる場合は、直前ではなく事前に必ず連絡します。
翻訳中に行った判断を説明したい場合や、原文の誤記が疑われる場合など、翻訳内容について伝えたいことがある場合は、その詳細をエクセルなどに記入しクエリとして併せて提出します。
5. 月末または月初に請求処理を行う
案件の請求処理は、月末または月初にまとめて行うことがほとんどです。
翻訳会社によっては専用のシステムがあり、そこで自動作成された請求書をチェックするだけで済んだり、一から自分で請求書を作成する必要があったりさまざまです。
最後に
今回は、登録翻訳者になることのメリットから、応募し、ひとつの仕事を完了するまでの流れを解説しました。
先が見えないと不安なこともあると思いますが、この記事で全体の流れを把握し、実務翻訳者になりたい皆さんが落ち着いてスタートを切る手助けができれば幸いです。
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